介護士が離職する理由

介護業界では人材不足が深刻な問題となっていますが、集まる人材よりも離職者が多いことが指摘されています。事実としては、数年前は他産業と比較すると高い離職率でしたが、近年は全体の平均値より少し高い程度になっています。

少なくなってきているとはいえ、なぜ介護業界の離職者は多いのかというと、原因には様々なものが考えられ、主なものとしては大きく分けて3つ挙げることが出来ます。

まず1つ目は人間関係の悪化です。最近では男性も増えてきましたが、介護士の多くが女性です。そのため女性特有の派閥や複雑な人間関係が起きやすく、それに耐えられずに退職していく人がいるのです。また、従業員同士だけでなく、入居者とのコミュニケーションが上手く取れないケースもあります。中には理不尽な対応を求める入居者もいるため、精神的に追い詰められる人もいるのが実情です。

2つ目は収入の問題です。介護士は決して高収入と言える仕事ではありません。むしろ他産業と比べるとかなり低いと言えるでしょう。実は施設で行えるサービスは国によって定められており、独自のサービスが展開出来ません。また介護報酬の上限も決まっているため利益が出せないのです。そのため施設が運営を続けていくには従業員の給料を上げることが出来ないのが現状です。

3つ目は結婚、出産、育児などの生活の変化による退職です。女性にとって結婚、出産、育児は人生における大きなイベントです。介護士の多くが女性であることもあって、これらのライフイベントによる人材の減少は避けがたい問題です。そのため、退職後の再雇用や男性介護士の確保といった対応が求められます。